子どもの健康と環境に関する「エコチル調査」始まる

排気ガス、塗料、農薬、食品添加物、化粧品など、多くの化学物質に囲まれている
排気ガス、塗料、農薬、食品添加物、化粧品など、多くの化学物質に囲まれている

 化学物質過敏症という病気を知っているだろうか。わずかな量の化学物質に反応して、心身にさまざまな症状が現れるものだ。症状がさまざまで個人差も大きいことなどから、化学物質過敏症に対する調査・研究はあまり進んでいない。また、他の病気と診断されたり、「気のせい」とされたりしている人も多い。

 

 この数十年の間、化学物質過敏症のように、化学物質や環境が原因と考えられる病気・症状を訴える人が増えてきた。そこで環境省は、化学物質や環境が子どもの健康に与える影響を長期間にわたって調べる「エコチル調査」をスタートさせた。赤ちゃんがお母さんのお腹にいるときから13歳になるまで、定期的に親子の血液や尿などを分析して健康状態を確認するものだ。各地の医療施設に協力してもらい、2013年までの3年間に親子10万組の参加者を全国から募るという。

 

 この調査によって、化学物質などが健康に影響することが明らかになれば、自主的取り組みや、化学物質規制の審査基準、環境基準(水質、土壌)等への反映へとつなげることができる。安全で安心な未来のためにも、ぜひ成功してほしい調査といえる。

 

文:岩間敏彦

 

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