「脱原発」で高まる再生可能エネルギーへの期待

草津の湯畑。温泉も地熱発電における重要な資源の1つ Photo By machu.
草津の湯畑。温泉も地熱発電における重要な資源の1つ Photo By machu.

 4月21日、環境省は平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査の結果を公表した。この調査は、将来に向けた再生可能エネルギーの大規模導入に関する検討を進めるためのデータとして、太陽光発電(非住宅系)、風力発電、中小水力発電、地熱発電についての賦存量(ふぞんりょう)と導入ポテンシャル、導入可能量を推計したもの。賦存量とは、土地の傾斜や法規制、居住地からの距離といった制約条件を考慮せずに、面積や河川流量などから理論的に算出可能なエネルギー量のことだ。このうち、制約条件までを考慮した場合のエネルギー量を導入ポテンシャルと定義する。

賦存量・導入ポテンシャル・シナリオ別導入可能量の概念図
賦存量・導入ポテンシャル・シナリオ別導入可能量の概念図

 調査によると、非住宅系太陽光発電の導入ポテンシャルは1.5億kW。普及には全量固定価格買取制度の活用に加え、技術革新等による導入コストの低減等が必要であるとしている。一方、風力発電は地域偏在性が見られるものの、例えば東北電力管内であれば、現在の電力供給能力である1655万kWをはるかに上回る3億kWの導入ポテンシャルが推計された。さらに、中小水力発電、地熱発電に関しても、東北電力、東京両電力管内での高い導入ポテンシャルが示されている。

 

 福島第一原子力発電所の事故によって、再考が求められ始めた日本のエネルギー政策。これら再生可能なエネルギーの普及においては、地域に適した効率的な発電方法の検討が重要となる。エネルギー資源に乏しいといわれる日本だが、山間地や水圏、温泉地や風力地帯といった変化に富む日本の国土を有効に活用すれば、十分な可能性があることがわかった。もちろん現状では、技術やコストなど多くの課題が山積みであり、さらなる技術開発や制度的な支援が重要であることは言うまでもない。

 

文:田中一整

 

平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査の結果について(お知らせ)

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13696

 

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