地域、介護、再生可能エネルギー・・・、僕が見続けていくべきもの。足利工業大学学長牛山泉先生講演会を聞いて

「Think Small」物事を小さいものから考えてみよう。


身近なところから出来ることを。僕らに今出来る事は何か?

福島原発事故をきっかけに原発なんかに頼らない生活は出来ないだろうかと思っています。


7月23日、佐野市文化会館で足利工業大学学長の牛山泉先生を中心とする講演会「再生可能エネルギーが地域を救う! ~最新トレンドは?地域経済・雇用はどうなる?」がありました。その講演を聞いて考えたことをまとめてみようと思います。


実際、3.11以前は再生可能エネルギーとして、「目にするもの」「聞いてみたことがあるもの」は、僕が通勤や移動の時に聞いているJ-WAVEで、毎月1日と祝日にある「グリーンキャスティングデイ」。放送に風力や水力などの自然エネルギーで発電した電力を利用している。それと近所のお宅にあるソーラーパネルが取り付けられているぐらいかな。北野武監督の映画「アウトレージ」のシーンで海岸沿いに並ぶ風力発電設備を見て、日本にもこんなものが海岸沿いにあるんだな~と思う程度でした。

 

きっとCO2の排出が少なくて環境にやさしいものだろう・・・。


10年前に自宅を建てた時は、ソーラーパネルは高価で設置できず、リフォームの時期が来て軽自動車が買えるぐらいになら付けてみようと考えてたかな。屋根は設置してもいいような構造にしてあるのだが、まだまだ価格が高くて庶民の僕が気楽に付けられるものではないのです。

 

3.11以降は、物事の考え方が大きく変化し価値観まで変化しようとしています。

 

東日本大震災以前は、地震が来ても電気は停電することはなく、落雷による停電が一般的。稀に地域の水道工事で断水するのが精々でした。

 

それが僕らの住んでいるところも半日以上停電。その後、計画停電で不便な生活が続きます。いつも出来るありふれた生活が一変したのです。計画停電が続いていた頃、電気は「当たり前にある」ものではなく、「停電しなければある」ものになりました。この夏に計画停電があったら、自分の介護の仕事に影響も考えられるため、エアコンが使える発電機を準備したのは言うまでもありません。

 

そして、牛山泉先生講演会「再生可能エネルギーが地域を救う」が行われることを知る。

 

当日、戦後の急激な人口増加が、地球環境問題をより厳しいものにしている事実を知ります。68億の総人口にはほど遠い、40億人分しか埋蔵されている資源エネルギーはないのです。しかも、日本は資源エネルギーに乏しく、大部分を輸入に頼っている。なんと資源エネルギー自給率は食品自給率より低い4%でしかないのです。


私たちの豊かな生活の為に、1日1人当たり使っている石油は5ℓ。このままに生活をしていると、現在使っている資源エネルギーは、石油が41年・ウランが70年・石炭が218年で枯渇してしまうんだそうです。

 

大好きなホッキョクグマの住む所がなくなるばかりでなく、生活の場が無くなってしまう。

 

石炭はまだまだ埋蔵量がありますが、火力発電に使うと大量のCO2が排出される。中国では、石炭による火力発電が多く、偏西風により日本で酸性雨に被害により森林は立ち枯れ、黄砂により化学物質が降り注ぐ問題が発生しています。地球温暖化が進み、海上の水位が上がれば、水没してしまう土地が沢山出来てしまう。これは人類にとって大変な問題。

 

そんな状況で、今回の大震災の津波が発生したならば、広範囲な地域に巨大な被害が発生してしまうのが想像できてしまい、背筋が寒くなりました。そのためにも、再生可能エネルギーにシフトして行かなければならないのです。

 

世界中で原発200基分の風力力発電が稼働中。。。

 

世界で稼働の多い国は中国・アメリカ・ドイツで、日本は13位。ヨーロッパで風力発電が伸びている理由は再生エネルギー買い取り法の影響だそうです。日本でも論議されていますが以前にあった法律は電力事業社の都合のいいように出来ていたため、日本では自然エネルギーにシフトしずらい部分があったのです。


日本の風量発電のポテンシャルは、北海道・東北の海岸線がポテンシャルが高く、原発780基分ものポテンシャルを持っている。ただ問題点は発電できても送電できなければ意味がない。これも電気事業会社の都合が問題となっている。

 

アメリカのオバマ大統領がアメリカの雇用の核としたのは風力発電の工場だった


グリーンニューディール政策により、2030年にはアメリカの電力の20%を風量発電で賄っていく。その為、多量に風車が必要になっていく。大量生産大量消費の象徴であった自動車産業から、自然エネルギーにシフトして行けば雇用も守れるのです。

 

「Think Small」は、1960年代にアメリカのフォルクスワーゲンの広告。「一人ひとりがSmallになってみよう」と人々に問うたもの。ゴールデンエイジのエルビスやキャデラックが富の象徴の時代に、ちっぽけなビートルの広告でした。実際、オイルショックがあり低燃費思考が進み、恐竜のようになったGM・クライスラーが経営破たんしたのは記憶に新しいことです。

 

自動車部品は、日産のラジオCMでも言っていましたが3万点。風力発電が1万点。

 

自動車産業のように、風力発電も様々な部品で構成されている。風力発電事業が軌道に乗れば自動車のような基幹産業になる気がしました。

 

太陽光発電は、日本の潜在能力は原発20基分。

 

一般家庭は日中発電して電気を売電。そして夜は電力会社から買電しているのです。自分の家で発電して自分の家で使うものだと思っていたので素人の僕には驚きです。一般家庭には電気をためる蓄電池が組み合わされば、なお良いように思いますが、コストの関係でまだ難しいものなのでしょう。


日本にメガソーラーを設置すれば、火力発電分は賄える。

 

ただ、ソフトバンクの孫社長が、休耕田にメガソーラーを設置して電力の安定供給を図ると言っていて、耕作放棄地のすごい土地の有効活用と思っていましたが、食料やバイオマス発電の材料を作る畑のことを思うと、そんなことをして良いのかと、個人的には疑問にも。。。


バイオマス発電は、単語は知っていても意味が分からなかった・・・。

 

バイオマスは、生物資源で、カーボンニュートラルで、循環型のエネルギー。単純な例は、木を切って発電して、また木を育てて行く。僕の家の周囲は、山や森や林が沢山あります。近所のお爺さんに現状を聞くと「今は桧や杉を切ってもお金にならない。手入れに行くにも年をとると間伐や下草刈りに行くのも一苦労だからもう10年ぐらい自分の山に入っていないんだ」と言います。

 

間伐してそれをバイオマスに使えば、山が豊かになるし洪水の予防になる。当然、間伐すれば、いい住宅の材料も供給できるようになり、良くなりそう気がします。ただ、切り出すコストがかかりすぎてしまうのが問題。

 

再生エネルギー特別措置法がしっかりと審議され、システムに乗っていくのを僕らは見続けていかなければ。

 

今回この法案が、経済産業省や資源エネルギー庁、電力事業者の都合の良いようにされてしまえば、風力発電やバイオマス発電のような産業が育たないのではないのでしょうか。

 

風力発電が一般的になれば、様々な部品で構成されているのだから、産業の振興になる。風力発電事業が軌道に乗れば自動車のような基幹産業なって行く。僕らが今までのような生活を維持して行くために必要な産業なのだ。

 

バイオマス発電も同様。地域の荒廃した森林・耕作放棄地の有効活用に有効です。荒廃した森林を間伐して災害に強い街が作れる。山がきれいになればイノシシなどの農作被害が減り農業が栄える。耕作放棄地も、穀物の先物取引を見ていると、中東情勢が不安定になるとバイオ燃料の原料となる穀物が高騰し食物危機が訪れてしまう。耕作放棄地にエネルギー作物を植えればバイオ燃料が出来て地域が潤う。これも経済産業省や農林水産省・林野庁・森林組合・農協が協働に動いてくれれば新たな産業になるのでは。

 

3.11以降、物事の考え方が大きく変化し価値観まで変化しようとしています。たしかに電気は産業の血液、政府が安定供給を求めるのは当然だ。でも、アメリカだって、自動車産業から再生可能エネルギー産業にシフトして行こうとしている。日本だって出来ないはずがない。僕が地域で何ができるかまだわからない。でもずっとこの問題を見続けて行くことだけは間違いない。

 

*このレポートの背景になった牛山先生の講演資料はこちらをクリックしてご覧ください。

 

PROFILE

溝越剛(みぞこし ごう)

 

群馬県太田市を中心に活動する特定非営利活動法人ネセサリーサービスセンター理事。高校を卒業して、社会人になり、入院経験を活かしたいと思い、看護学校に入学。その後、病院の勤務を経て老人ホームに勤務している。

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