災害を想定した「炊き出しグランプリvol.3」が開催

 3月9日(日)、相模原市南区の相模大野中央公園にて、一般社団法人エコ食品健究会主催の「炊き出しグランプリVol.3」が行われた。

 炊き出しとは、地震・火事・紛争などの発生地に出向き、被災者や現地の人に食事を提供する行動のことをいう。

 

 エコ食品健究会でも東日本大震災以降、福島県・宮城県・岩手県などの被災地で、述べ120拠点42,000食の炊き出しによる「食の支援」を約4カ月にわたって実施。同会の調べでは、延べ8,000の団体や個人が被災地で炊き出しを実施したことがわかっているという。 

 しかし、炊き出しでは、食の提供だけでなく、支援者と被災者との間に暖かいコミュニケーションが生まれる一方で、コミュニケーション上の行き違いや、配給の遅延、ゴミの始末などが原因でトラブルも多く発生している。そこで同会では、過去の炊き出しに関する調査を元に「炊き出し支援実態調査報告書」を作成。問題点を評価項目とし、炊き出しスキルを競い合う場を提供しようと誕生したのが「炊き出しグランプリ」である。

 「炊き出しにおけるトラブルは、せっかくの被災者支援である炊き出しが、炊き出し支援団体や個人に炊き出しスキルが欠落していたために起きたものと言えます。善意に始まる炊き出しを善意で終わらせるためにも、日頃から準備をしておくことが大切です。vol.1、vol.2では、炊き出しグランプリ開催の意義をお伝えしてきましたが、今回のvol.3は、今後想定される有事に向けての本格的なトレーニングに入る段階に来ています」(一般社団法人エコ食品健究会 代表理事 久保正英氏)

 

 当日は、食品メーカーや地元ホテル、市民団体など17団体が参加。そのなかから、石巻復興マルシェから参加した石巻うまいもん屋が、おかゆにかぼちゃをまぜた「一杯の教訓」で「想定避難者に対しての配慮が出店者中No.1」との評価を得て見事グランプリに輝いた。炊き出し以外にも、火起こし体験やロケットストーブの組み立て、紙やペットボトルでの食器づくりなど様々なワークショップが行われ、防災減災ゾーンでは、自前調達の電力、薪割り、非常用トイレ、消火器・AEDの体験なども披露された。

 

 参加団体はもとより来場者にとっても、災害への備えについて幅広く考えさせられる一日となったのではないだろうか。

 

写真:エコ食品健究会

文:遠藤香織

編集・構成:中島まゆみ 

«一つ前のページへ戻る