コミュニティを支えるエネルギーとは? 足利工業大学&ソーラーシティ・ジャパン協働セミナーレポート

 2月7日(土)、足利工業大学総合研究センターにて足利工業大学(以下足利工大)、ソーラーシティ・ジャパン協働シンポジウム「地域で活用する再生可能エネルギー」シンポジウムが開催された。


 午前の部は隣接する「風と光の広場」にて、チャウス自然体験学校の加藤正幸氏によるソーラークッカー体験教室が実施され、30名ほどの家族が参加。“ソーラークッカー博士”の足利工大中條祐一教授が開発した教材用クッカーでゆで卵作りに挑戦した。


 教材用クッカーがずらりと並び、ソーラークッカーの花が咲き乱れた。それにくわえ、プラスチックバージョンのエデュクッカー003でパウンドケーキ、箱型クッカーでパスタ、さらに巨大ソーラークッカー“サンローズ”で鳥の丸焼きにチャレンジ。見事に出来た時には大歓声があがっていた。

 午後の部に行われた講演会には約50名が参加。神奈川や東京からの参加者もあり、再生可能エネルギーを地域の活力とするということへの関心の高さがうかがえた。「教育」をテーマにした足利工大の安藤康高教授は足利工大の自然エネルギー教育の取り組みと、色素増感太陽電池の展望について発表。地域に根ざした大学として足利工大自然エネルギー環境学系の存在がいかに大きいかがうかがえた。次のテーマは「都市」。山水設計コンサルタント代表の山根健司氏による、山梨県都留市の小水力発電によるまちづくりの発表。同市内に流れる家中川に設置された小水力発電所が完成するまでの様々な問題や苦悩、解決方法を中心に話があった。最後に、市民の活力を生かし、いかに再生可能エネルギーを普及するかのアドバイスも頂いた。

 次は「農業」をテーマとする北海道バイオマスリサーチ株式会社代表の菊池貞雄氏によるお話。彼が代表を務める大学発ベンチャーの北海道バイオマスリサーチ、設立に大きく貢献したNPO法人コミュニティシンクタンあうるずの成り立ち、さらに現在まで菊池氏が携わってきたバイオガスプラントやバイオマス活用の事例紹介を中心とする講演。最後には地方創生とバイオマスの展望を話された。ご自身の体験を通じ、ソーシャルビジネスはソーシャルに重きに置くのではなく、ビジネスに重きを置かなくては、シンクタンクもベンチャーも成り立たないと感じているという言葉は強く印象が残った。NPO法人ソーラーシティ・ジャパン代表の上岡裕氏は、2016年に迫った家庭での電力の自由化について話し、将来、直流で生まれるネットワークの展望にて講演を締めくくった。


 その後に行われた講師4人とソーラーシティ・ジャパン専務理事吉田登志幸氏をコーディネータに加えたパネルディスカッションでは、足利工大の展望、設立を予定する足利工大発のNPOについての意見交換も行われた。最後には参加者との意見交換もあり、足利市、足利工大の目指す将来に近づけたシンポジウムになった。北海道のバイオマスツアーや山梨の小水力ツアーへの期待の声も大きく、今年の秋には実現をさせたいと思う。


文 / ソーラーシティ・ジャパン理事 大和田正勝

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