2015年

12月

14日

都市型バイオガス最新事例「横根バイオガス発電」を訪問しました。

メタン発酵槽
バイオガス施設の核となるメタン発酵槽

2012年7月に固定価格買取制度がスタートしてから、全国津々浦々に再生可能エネルギーの発電施設が生まれている。

この制度の対象となるのは太陽光、風力、小水力、バイオマス、地熱の5種類だが、ほとんどを太陽光発電が占めている。他のエネルギーと違って土地さえ手配できれば誰でも参入できる手軽さがその大きな要因だった。バイオガスについてはエネルギー源となるゴミの収集や、臭気対策、発電後の消化液の処理などの問題があり、運営開始までにかなりの時間が必要だ。

だが、そうした問題をクリアした施設が全国に生まれつつある。その一つ、都市型バイオガスのモデルとなる施設が愛知県大府市にあると聞き訪ねることにした。

近隣住民に配慮し臭気対策を徹底!

僕らが訪問したのは大府市を中心にゴミ処理を手がけるオオブユニティ株式会社が運営する横根バイオガス発電施設。12月初旬の日曜、忙しい日程を縫って説明をしてくれたのは藤崎功太郎さん。バイオガスについてよく知らなかった社内の人たちを説得し、ゴミの持つ新たな価値を引き出すべく、この施設の立ち上げに奮闘してきた立役者だ。この施設の建設にあたって藤崎さんが最も配慮したのが環境を守るべきはずの施設が近隣の迷惑にならないことだった。

こだわりはメタン発酵のエネルギー源となるバイオマス廃棄物の受入の仕方に表されている。この施設が受け入れる廃棄物の中心となるのは生ごみや食品残さだ。温度が低い冬の間は良いのだが、高温が続き腐敗が進みやすくなる夏の間の匂いが大きな問題だ。そこで生ごみが地上で露出する環境をつくらないことを選択した。粉砕機を地下に設置することでトラックがスムーズにゴミを地下に落とし、密閉性の高い受入口の蓋を締めることで匂いをシャットアウトする工夫を凝らした。  

ドイツと日本のバイオガス施設の違いは水処理にある。

可溶化処理
不純物の選別後、メタン発酵のための水分調整が行われる可溶化処理

バイオガス施設の運営にとって障害となるのは最後に残る消化液の処理だ。大地も広く、大規模な牧場や農場を持つ北海道のような地域では消化液も有機肥料として活用され、その消化液を活用することでオーガニックな農業を営むことができる。しかし、都市近郊の場合、それを受け入れるだけの農業のポテンシャルはない。生ごみから生まれた堆肥についても引き取り手がいないために焼却処分されることだってある。

バイオガスの盛んなドイツなどの場合、北海道と同様に消化液の処理に困ることはない。そのため、最後の水処理を得意ではない。バイオガス施設から生まれる消化液を脱水して堆肥化することで有効活用し、残った水を下水として放流するためには水処理を徹底する必要がある。その技術については日本のメーカーが秀でている。そう知った藤崎さんは迷わず日本のメーカーのプラントを選んだ。

固定価格買取制度で儲かることより市民のためを考えて!

メタン発電機
発酵によって生み出されたメタンはこの発電機で電力に変わる。

横根バイオガス発電施設の廃棄物の処理能力は日量70t。その廃棄物からメタンを取り出し、1,500世帯分に相当する15,000kWhを発電することができる。

固定価格買取制度でその全量を販売して、この施設で使う電力を安い価格で別に買うという選択肢もあった。だが、その選択はしなかった。国の補助をもらって建設したのに固定価格買取制度で国民負担を多くしてしまうのでは申し訳ない。そのため発電した電力は全量ではなく余剰分を売ることにしたのだ。

社会や環境に配慮をすることはコストがかかる。だが、そこを無視して電力をつくったとしても社会的な評価を得られない。廃棄物処理は地域の理解がないと続けてはいけない。一過性の利益を求めることは会社の持続可能性を傷つけることになる。しっかりとコストをかけてでもやるべき価値があると藤崎さんは考えたのだ。

この施設の本格稼働は4月になる。この地域初となる都市型バイオマス活用のモデルとして、愛知県ともにじっくり施設の運営にあたっての環境を整備しているのだそうだ。バイオマス産業都市の大府市が手がける新しい循環型モデルとして全国から多くの視察を集めそうだ。

オオブユニティ株式会社
バイオガス発電施設が完成しました。

取材・文 / EOL編集部

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