気候変動の被害者たち(14) アデリーペンギンを襲う悲劇

アデリーペンギンは地球温暖化を生き残ることができるのか。 CC BY-NC 2.0 KK Condon
アデリーペンギンは地球温暖化を生き残ることができるのか。 CC BY-NC 2.0 KK Condon

気候変動で被害を受ける動物としてよくあげられるのがホッキョクグマだ。北極が温かくなり氷が減ることで、狩りをする足場が失われて獲物を手にすることができない。そのために多くのホッキョクグマがやせ細り、絶滅を危惧されるまでになった。

一方、南極にもホッキョクグマ同様に地球温暖化に苦しんでいる動物がいる。アデリーペンギンだ。これまで地球温暖化で生息数が減少していると言われていたが、米デラウェア大学の研究チームによって地球温暖化と生息数との関係が明らかになってきた。

アデリーペンギンは岩場に巣をつくって子育てをする。岩場が氷に覆われるとコロニーがつくれない。温かくなり氷がなくなるとコロニーが再生する。これまでも自然な気温の変化によって生息数を変化させてきた。だが、気候変動によって極端に南極が温まったため、普通なら生息数が増えるところが減少に転じてしまっている。

地球上で最も急激に温暖化しているとされる南極西部の南極半島では、アデリーペンギンの減少が進み、温度の安定している他の地域の生息数は安定している。地球温暖化が南極全体に及んでくると2060年には3割のコロニーが衰退し、2099年にはその割合が6割に及ぶという。

そのメカニズムまで解明されていないが、今回の研究で海水温が特に温かいと、アデリーペンギンに被害が出ることがわかってきた。それを将来の気候モデルにあてはめると上記のような結果になるのだという。気候変動を止めることがベストな道だが、彼らの保護もまた同時並行で進めなければならないだろう。

<参照リンク>
PENGUINS AND CLIMATE CHANGE

翻訳・文 / ソーシャルエコロジー研究所

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