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【RADIO SAKAMOTO】音楽による認知症ケアと沖縄での取り組み

昨年末、音楽を活用した認知症ケアのお話をして欲しいと声がかかり沖縄を訪問しました。アメリカの団体からトライアルを実施してくれないかと頼まれたMusic & Memoryというプロジェクトの結果について講演をしました。

3か月にわたるトライアル事業に協力してくれたのは、父と母がお世話になっている聖生会という地元の医療法人です。この法人が運営する4施設6人の方たちにむかし好きだった曲を聴いてもらいました。

栃木で始まったMusic & Memoryのトライアル事業

それぞれの方によって効果の出方が違いますが、6人中5人の方にポジティブな変化が出ています。1日30分から1時間程度、週4日から7日の間、音楽を聴いてもらうことで、言葉が少なくなってきたおばあちゃんのおしゃべりが増えたり、おやつを選択する行動などに積極性が出たり、おどおどとしていた人が落ち着いた様子を見せるようになり、ひとり寂しそうにしていた人に笑顔が増え、大きな声で活発に歌う人も出てきました。

12月で一段落となるトライアル事業ですが、これだけ効果があるならぜひ続けようということになり、栃木では参加者を増やす形で継続することになりました。

沖縄の講演では介護事業に関わる60名の方にご参加いただきました。実際にグループホームを手がける医療法人のみなさんや、大きな病院のソーシャルワーカーの方など、何人かの方から沖縄でも介護の場で音楽を活用してみたいとご提案をいただきました。

次のトライアルではもっと多くの施設で手がけて欲しいとの要望がアメリカ本部からも出ています。是非、沖縄でも実施してみたいと考えています。

“音楽の島”沖縄らしい取り組みを模索したい。

Music & Memoryの取り組みは介護施設に入所された方の好きだった曲をiPodなどで聞いてもらうものです。元々、暮らしのなかに音楽が根付いている沖縄ではちょっと違ったことができるのではないかという気もします。実際に病の重い高齢者の方が三線が鳴り出すと踊りだすという奇跡的なことも起こるらしく、音楽家とともに介護施設やホスピスなどを訪問するようなことをコーディネートするとよいのではないかと思っています。

講演後、アメリカの取り組みを伝える映画「パーソナルソング」の上映をしました。そこには琉球フィルハーモニックオーケストラの事務局長さんも参加していました。オーケストラとして地域貢献をテーマにしているとのこと。ぜひ一緒に活動をしていこうと盛り上がりました。

今年はマダガスカルで自然エネルギーと森林再生をつなぐ事業が本格化します。それと並行して沖縄でも音楽と健康をテーマにした新しい取り組みが始められそうです。沖縄とはかなり深い関わりを持つの深い教授ですから、今後、何か一緒に手がけられたらいいなと思っています。本年もどうぞよろしくお願いします。エコロジーオンライン上岡裕でした。

<参照リンク>
RADIO SAKAMOTO 

*本記事は2018年1月7日の「RADIO SAKAMOTO」出演時に用意した原稿を再編集して作成しました。

エコロジーオンライン理事長 上岡 裕

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