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歌をうたう神秘のクジラ「ザトウクジラ」

ザトウクジラ / Humpback Whale

学名:Megaptera novaeangliae

Megaptera(大きな翼)という意味の通り、とても大きな胸ビレを持っています。

 

体長:約13-15メートル(哺乳類では珍しく、オスよりもメスの方が大きい)

体重:約30〜50トン

寿命:約50-65年ほど(最長で77年生きたクジラも!)

 

 

数十頭〜多いときは数百頭もの群れで行動します。

大きな口いっぱいに水を飲み込み、上アゴの内側にあるヒゲで小魚などをろ過して食べています。

なんと食べる量は1日1トン超え!

 

 

ザトウクジラは、大きくジャンプをして水面上に体を出す、「ブリーチング」と呼ばれる行動をよくします。ブリーチングを見るためにホエールウォッチングに行く人も多くいます。

間近で見られたら、とても迫力がある光景でしょうね!

 

↓ 1:59〜ブリーチングの様子が見られます

オスのみですが、ザトウクジラは歌を歌うクジラとしても有名です。

クジラ歌の成り立ちはとても複雑です。長い時には歌が数日繰り返されることもあるようです。

ザトウクジラは、その生態の多くが未だ解明されていません。

捕鯨が禁止されてからは、生息数がゆるやかに増加しています。

絶滅の心配がなくなる日も遠くないかもしれませんね。

コピー・イラスト / kawe

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思わず2度見する?!摩訶不思議な鼻「サイガ」 (火, 19 9月 2023)
みなさん、この特徴的な鼻を持った動物を見たことはありますか?   この動物は、「サイガ」と言う動物です。   映画「スターウォーズ」から飛び出してきた!と言われているくらい独特な鼻を持っていますが、知名度は全世界的にあまり高くありません。   サイガはマンモスがいる時代から生き抜いてきた動物ですが、実は何度も絶滅の危機にあっています。 サイガってどんな動物? カザフスタン、ロシア、ウズベキスタン、モンゴルなどの「ステップ」と呼ばれる乾燥した草原に生息し、草やコケなどを食べる草食動物です。   以前はイギリスやヨーロッパ、アメリカのアラスカなど、もっと広い範囲に生息していましたが、乱獲などにより絶滅してしまいました。   夏は茶色い短い毛に覆われていますが、厳しい寒さの冬になると灰色っぽい長めの毛になります。 長さ20cm〜40cmほどの角は、オスのみに生えています。 この角を使い、メスを争って他のオスと戦います。 驚異的なスタミナ! サイガは季節ごとに移動しながら暮らしています。 普段は30~40頭の群れで行動しますが、多い時で何千頭もの大規模な群れをつくることがあります。 厳しい冬を避けるために、1日に80〜120kmほど移動することもあるそう。   サイガは、オオカミなどの天敵から逃げるスピードもスタミナも持っており、最大速度80kmほどで走ることができます。 ちなみに、時速80kmはライオンの走る速さと同じくらいです。早いですね。 走ることが得意なため、サイガにとっては障害物のないステップのような場所が暮らしやすいのかもしれませんね。 フシギな鼻の形の秘密 サイガの鼻は、なぜこのような形をしているのでしょうか?   その理由は、サイガが棲んでいるところに関係しています。 サイガは乾燥したステップに大きな群れで生息しているため、一斉に走り回ったり移動したりするときに、大量に砂ぼこりが舞ってしまいます。 想像するだけでも苦しいですが、もし私たち人間がそんな大量の砂ぼこりを吸ってしまったら、体を悪くしてしまいますよね。しかし、サイガはこの「鼻」を持っているから、大丈夫なのです。       もし砂ぼこりを吸い込んでしまっても、鼻の内部にある大きな空間で、吸い込んだ砂ぼこりをろ過し、綺麗な空気を肺に取り込むことができます。   それだけでなく、鼻の大きな表面積で、夏は暑い空気を冷やし、厳しい寒さになる冬には空気を暖めることもできます。   また、鼻から発する声でコミュニケーションを取ったり、オスがメスにアピールする時にも役に立つと考えられています。     ここで、筆者が厳選したクセになるサイガの鼻動画をご紹介します。 2:33〜 鼻のプルプル音。  54秒〜 ブルンブルンの柔らかい鼻。 サイガの鳴き声。 筆者はだんだん「ウメェ〜」と言っているように聴こえてきてしまっています。 サイガはなぜ絶滅危惧種になってしまったの? サイガは現在、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで最も絶滅の恐れが高い近絶滅種(critically endangered)に指定されています。   サイガが減少してしまった原因は、食用としての狩猟、角を目的とした密猟、柵や国境フェンスなどの障害物への追突などがあります。 特に、サイガの角を粉末状にしたものは「羚羊角(れいようかく)」と呼ばれ、解熱などに効く漢方薬として重宝されています。 角を目的にオスが乱獲されてしまうと、メスに対するオスの数が足りない状態が続き、出生率も低くなってしまいます。     さらに2015年春には、カザフスタンのサイガが謎の病により大量死してしまいました。   研究の結果、死因はパスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)という細菌の繁殖だったことが明らかになりました。 パスツレラ菌は、サイガが生まれた時から持っている菌であるとされ、血中に入らない限り、通常は無害なもののようですが、気候変動により、今までにない高温多湿の気候が続いたことで、細菌が異常に増殖し、サイガの体がそれに抵抗しきれなくなり、死んでしまったのではないかと言われています。   パスツレラ菌により、全世界の生息数の半分以上にあたる20万頭以上のサイガがいなくなってしまいました。 これにより、また絶滅へと一歩近づいてしまったかに思われましたが、サイガのメスは、生まれてから一年後には子供を産めるようになり、しかも、一度に1〜3頭を産むことができます。10年生きると20頭もの子どもを産むことができると言われているほどの高い繁殖力によって、サイガは絶滅を回避することができました。   それに加えて、サイガ保護同盟(Saiaga Conservation Alliance, SCA)や現地の動物園などが、教員研修ワークショップを開催し、サイガと彼らが生息する環境の大切さを子どもたちや地元住民に教えるなど、積極的な保護活動を続けています。   サイガの優れた繁殖力と、そうした保護団体の活動により生息数はゆるやかに回復しており、2021年にはカザフスタンで80万頭を超えるサイガが確認されています。   エコロジーオンラインのショート動画「きこきき」では、今、世界で起きている気候変動について解説しています。ご興味がありましたら覗いてみてくださいね。 コピー・イラスト / kawe
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生き物の宝庫マダガスカルと個性を極めしカメレオン (Sat, 15 Jul 2023)
マダガスカル共和国という国を知っていますか? マダガスカルと言えば、映画「マダガスカル」が有名ですが、「まだ助かる」というフレーズが浮かんでくる方もいるかもしれませんね。   マダガスカル島は、日本の約1.6倍の面積をもつ、世界で4番目に大きな島です。 世界最大のバニラの生産国でもあり、日本のバニラの総輸入量の約90%がマダガスカル産です。マダガスカルのバニラを食べたことがある方も多いのではないでしょうか。 驚くことに、マダガスカルで見られる全動植物種の80%以上が固有種(マダガスカルにしか棲んでいない動物)です。   なぜマダガスカルには固有種がこんなにも多いのでしょうか? その答えは、マダガスカル島の誕生に深く関係しています。 マダガスカル島ってどんなところ? マダガスカル島は、8800万年前に他の大陸から分離してできた島です。 この分離した時から、島に生息する動植物は他から独立した環境で過ごすこととなり、彼らは独自の進化を遂げていきます。 その結果、マダガスカルは地球上の他の場所では見られないような特徴を持った動植物が数多く生息する自然の楽園になったのです。 しかし、そんなマダガスカルも大きな問題を抱えています。 マダガスカルでは国民の約79%が1日1.9ドル(今の日本円で約259円)以下で生活する、世界で最も貧しい国の一つです。   人口は、現在確認できているだけでも約2900万人。 そして、マダガスカル人のほとんどは農民です。 人口は年々増えており、常に新しい農地が必要とされるため、人々は森林を燃やすことで農地を手に入れます。 そうして焼畑農業・森林伐採などが進んだ結果、マダガスカルの森林面積はどんどん減り続け、もともとあった自然の90パーセントが失われてしまったと言われています。 もしこのまま自然が減り続けてしまったら、動植物たちの居場所がなくなってしまいます。   この問題を解決するため、マダガスカル島の至るところには自然保護区や国立公園がつくられ、野生動物を保護する活動が積極的に進められています。 国立公園は、観光地としても人気です。 もしマダガスカルに行く機会があったらぜひ行ってみてくださいね。 今回はそんなマダガスカルに棲む絶滅危惧種のカメレオンを2匹ご紹介します。 現在、世界中で発見されているカメレオンはおよそ200種類ですが、その半数近くがマダガスカルに生息していると言われていることから、マダガスカルは「カメレオンの楽園」、「カメレオンの聖地」とも呼ばれています。   カメレオンはペットとしての人気も高く、多くのカメレオンが現地で捕獲され、違法に取引されていることが大きな問題になっています。 個性を極めたカメレオンたち まるで天狗のような特徴的な角を持つラボードカメレオンは、四足動物の中で一番寿命が短いと言われています。 卵がふ化してからその命を終えるまで、その一生はなんと4〜5ヶ月。 なんて短いんだ…。   ラボードカメレオンは、乾季と呼ばれる雨が降らない時期(約7〜9ヶ月間)の過ごし方が、他のカメレオンと違います。 多くのカメレオンにとって乾季は食べるものも少なく、暑さや乾燥などが生きるには厳しい環境であるため、眠って休む「夏眠」というものをします。 これに対しラボードカメレオンはずっと卵の中で過ごすのが特徴です。   そうして長い乾季が終わり、 11月頃の雨季(雨が降る時期)にふ化し、 3月頃に卵を産み、 4月頃に再び乾季になると死んでしまいます。   外の世界で生きている時間よりも卵の中にいる時間の方が長いというのも面白いですね。 このような生き方は、厳しい乾季をどうにかしのいで子孫を残すための彼らなりの生き抜く術なのかもしれません。 もう1匹、マダガスカルには驚きのカメレオンがいます。 その名も「ナノヒメカメレオン(ナナヒメカメレオン)」。   なんとこのカメレオン、発見されたオスの頭から胴までの長さがわずか13.5ミリメートル。尾まで含めると21.6ミリメートルです。 爪に乗ってしまうくらいの小ささです。 下の動画を見ながら、自分の爪でも想像してみてください。 ↓2:04:50あたりから登場します。 ガイドの方の生き物への愛を感じますね。 ナノヒメカメレオンは世界最小の爬虫(はちゅう)類である可能性があり、絶滅の危険が高い近絶滅種(critically endangered)にまもなく指定されると予想されています。 マダガスカル島には個性あふれる生き物が多く棲んでいますが、未知の動物もまだまだいるのではないでしょうか。ナノヒメカメレオンより小さいカメレオンもいるかもしれませんね。   エコロジーオンラインは、マダガスカルの人々、自然、そしてこの島に生きる生き物たちを守るためにも、マダガスカルへの支援を継続していきます。 コピー・イラスト / kawe
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