"Massive Antarctic Iceberg Spotted on NASA IceBridge Flight" by NASA Goddard Photo and Video is licensed under CC BY 2.0 .

地球上で最も寒く、遠い場所の一つである南極の海底から、地球温暖化を加速させる「メタンガス」が漏れ出していることが、科学者たちの調査によって発見された。これは、私たちが住む地球の環境が、予想以上に速く、そして深く変化していることを示す、非常に重要な警告である。

この発見は、ウェッデル海という南極大陸の沖合で行われた探査中に確認された。海底の割れ目、専門的には「断層」と呼ばれる場所から、温室効果ガスであるメタンが泡となって海中へと立ち昇っているのである。この現象自体は、メタンハイドレートという形で海底に大量に閉じ込められていたメタンが、海水温の上昇によって融解し、地殻の弱い部分を通じて解放されていることを示唆している。

メタンは、二酸化炭素に比べて大気中の滞在時間は短いものの、その温室効果は極めて強力である。したがって、海底から大量のメタンが継続的に放出され、それが大気中に到達するようになると、地球温暖化のペースが一気に加速してしまう恐れがある。研究チームは、このメタンがどの程度の量で、どのくらいの期間にわたって放出されているのか、そして、放出されたメタンが海中で微生物によって分解されずに、どれだけ大気中に達しているのかを、詳しく調べる必要があるとしている。

南極や北極のような極地は、地球の気候システムにおいて、いわば「冷凍庫」のような役割を果たしてきた。しかし、地球温暖化が進行することで、この冷凍庫が不安定になり、内部に閉じ込められていたメタンなどの物質が解放され始めている。これは、自然界のプロセスが、私たちの行動による温暖化によって引き起こされ、さらに温暖化を強めるという「ループ」状態に陥る可能性を示している。

今回の発見は、南極という一見すると人為的な影響が少ないように見える場所でさえ、気候変動の影響が海底深くにまで及んでいることを物語っている。私たちがこの美しい地球を守り、未来の世代に引き継いでいくためには、この「南極のささやき」を真剣に受け止め、温室効果ガスの排出を抑えるための、より一層の努力が必要だろう。

＜関連サイト＞

Antarctic seep emergence and discovery in the shallow coastal environment

翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部（AIを使用）