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ブラジルのCOP30で訴えられた「気候変動による避難」の声

 

 

ブラジルのベレンで開催されたCOP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)において、洪水、熱波、干ばつといった自然災害によって住まいを追われた人々の声が強く訴えかけられました。

 

 

📌 気候変動が引き起こす「人間の移動」

 

国連の国際移住機関(IOM)は、気候変動による「人間の移動(Climate Mobility)」を、気候変動適応計画の中心的な要素とするよう交渉団に強く求めています。IOMのウゴチ・ダニエルズ事務次長は、「とどまることを選ぶ人々やコミュニティは安全でなければならず、移動を決断した人々には尊厳をもって移動する選択肢が与えられなければならない」と訴えました。

IOMは、気候行動の核心として人間の移動を位置づけ、特に国家適応計画(NAP)や「損失と損害(Loss and Damage)」のための資金調達において、このテーマがターニングポイントとなることを期待しています。

 

 

📢 被災地からの直接の訴え

 

会議には、気候変動の最前線で被害を受けた人々が参加し、その経験を共有しました。

  • ハイチのロバート・モンティナール氏: 2010年の大地震の後、難民としてブラジルへ避難したモンティナール氏は、ハイチの窮状を「気候の不公平(Climate Injustice)」だと訴えました。アメリカのフロリダを襲うハリケーンと同じものがハイチに破壊をもたらしても、アメリカが迅速に再建するのに対し、ハイチでは未だに瓦礫が残っている現状を指摘。彼は、難民の声こそが解決策を持っていると主張し、気候問題に取り組む自治体評議会の設立や、環境人種差別への対策を求める提案をブラジル政府に提出しました。

  • エチオピアのメイビブ・タデッセ氏: エチオピアでは、気候変動の圧力が土地や資源をめぐる紛争を激化させていると述べました。食料や水が不足する中で「暴力と避難の連鎖」が続き、気候変動の影響は、1974年から1991年にかけてのエチオピア内戦がもたらした破壊に匹敵するか、それを超えるほどだと説明しました。

 

 

🤝 難民の尊厳を守るための呼びかけ

 

メキシコ人俳優で国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使を務めるアルフォンソ・ヘレラ氏もこれに加わり、「難民の声は封じられてきたが、聞かれなければならない」と強調しました。

 

COP30でのこの議論は、気候変動対策が単に生態系を救うことだけでなく、人々の生活を守り、尊厳を維持し、誰一人として取り残さないための行動であることを世界に強く訴えかけました。ブラジルのように難民を歓迎する姿勢は、多くの国が逆の態度をとる中で、称賛に値するとヘレラ氏は述べています。

 

 

<関連サイト>
From Haiti to Ethiopia: voices of climate displacement at COP30

 

翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部(AIを使用)

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