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世界的な気候変動対策の現状は、依然として厳しい見通しだといえる。化石燃料による世界の二酸化炭素(CO2)排出量は、2025年も過去最高を記録する見込みであり、その増加ペースは、地球温暖化を産業革命前と比べて1.5度未満に抑えるというパリ協定の目標達成を極めて困難にしている。現在の排出速度が続けば、この1.5度目標を達成するために残された「カーボン・バジェット(排出許容枠)」は、わずか4年程度で尽きてしまうという計算だ。
増加を続ける世界の排出量と、その背景
排出量が減らない主な原因は、世界のエネルギー需要が急速に増え続けていることにある。特に、天然ガスや石炭による排出が増加しており、クリーンエネルギーの導入拡大が、この急激な需要増を相殺しきれていない状況だ。この結果、地球温暖化対策への取り組みは進んでいるにもかかわらず、排出量が全体として増加するという「進歩と後退の混在」が続いている。
しかし、この暗いニュースの中にも、非常に大きな希望が見えている。それは、「経済成長とCO2排出削減を両立させることは可能だ」という明確な証拠を示す国々が増えていることだ。
35カ国の前進:デカップリングの実現
最新の「グローバル・カーボン・バジェット」報告によると、過去10年間で、経済を成長させながら化石燃料によるCO2排出量を削減した国が、世界で35カ国に達した。これは、10年前の約2倍の数である。
これらの国々(オーストラリア、ドイツ、ニュージーランド、アメリカ、日本などを含む)は、経済を拡大させつつ、排出量を統計的に見て確実に減らしている。この成果は、脱炭素化は経済を犠牲にするものではないことを証明している。特に、太陽光発電や風力発電といったクリーンエネルギーの導入が進んだことで、排出量の多い化石燃料による発電を置き換えることができたことが、大きな成功要因だ。太陽光や風力の価格が大幅に下落したことも、この変化を後押ししている。
主要排出国の動向:減速の兆し
世界全体の排出量の約9割を占める主要排出国の動向にも、変化が見られる。
⚫︎中国やインドでは、クリーンエネルギーへの大規模な投資のおかげで、これまでの急激な排出増加のペースが鈍化している。
⚫︎一方、アメリカやEUでは、一時的に排出量が減少傾向にあったにもかかわらず、直近のデータでは寒波などの影響や経済活動の回復により、再びわずかな増加に転じる可能性が指摘されている。
今後の課題と希望
この現状が示すメッセージは明確だ。35カ国が示したように、技術と政策があれば、経済を成長させながらCO2排出量を削減することは十分に可能である。しかし、世界の排出量を目標達成に十分なレベルまで劇的に減らすためには、この成功例を世界規模で、より速く、より大きく展開する必要がある。
私たちは、もはや排出量を「減らす」だけでなく、化石燃料への依存を迅速に断ち切り、世界のエネルギーシステムを根本的に変革する必要がある。この35カ国の成功は、その変革の道筋が現実的であることを示しており、各国がより野心的な気候変動対策に乗り出すための強力な後押しとなるはずである。
<関連サイト>
The world’s carbon emissions continue to rise. But 35 countries show progress in cutting carbon
翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部(AIを使用)









