
"Phytoplankton Bloom in the Barents Sea [Detail]" by NASA Goddard Photo and Video is licensed under CC
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2024年、地球の森林や土壌などの「自然の炭素吸収源(カーボンシンク)」が、これまでにないほど二酸化炭素(CO₂)を吸収できなくなったことが明らかになった。これは、地球温暖化の進行を加速させる深刻な兆候とされている。
自然の炭素吸収源(カーボンシンク)とは?
森林や土壌、海洋などは、私たちが排出するCO₂を吸収し、大気中の温室効果ガスの増加を抑える役割を果たしている。これらの自然の仕組みは、気候変動対策の基盤とされてきた。
2024年の異常事態
2024年、ハワイのマウナロア観測所で記録された大気中のCO₂増加率は、過去最高の3.58ppmに達した。これは、森林や土壌がCO₂をほとんど吸収できなかったことを示している。特に、アマゾンや中央アフリカ、東南アジアなどの熱帯地域では、干ばつや高温により植物の光合成が阻害され、CO₂の吸収能力が大幅に低下したという。また、カナダやシベリアでの大規模な森林火災も、CO₂の吸収能力を著しく損なった。
影響と今後の懸念
このような自然の炭素吸収源の機能低下は、地球温暖化の進行を加速させる「悪循環」を引き起こす可能性があるという。つまり、温暖化が進むことで自然の吸収能力がさらに低下し、それがさらなる温暖化を招くという連鎖である。この現象は、気候変動の「転換点(ティッピングポイント)」に近づいている兆候とも考えられている。
求められる対策
この状況を打開するためには、化石燃料の使用削減、森林の保護と再生、干ばつや火災への適切な対策などが求められる。
気候変動による極端な気象現象への適応策を強化し、自然を守ることで、自然の炭素吸収源の機能を回復させ、地球温暖化の進行を抑えることが急務である。
<参照リンク>
Trees and land absorbed almost no CO2 last year. Is nature’s carbon sink failing?
翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部(一部AIを使用)