人工知能(AI)を活用して、自然の生態系をより詳しく、そして効率的に調べるためのツールづくりが進んでいる。食べ物のつながり(食物網)や、動物たちの声が聞こえる自然の音の風景(サウンドスケープ)を分析することで、自然の生態系を守るための大きな助けとなる。
食べ物のつながりを追跡するAI
これまで、生き物たちの間で「誰が誰を食べるのか」という食べ物のつながりを調べるのは、とても大変な作業だった。研究者たちは、それぞれの生き物の糞や胃の内容物を調べ、その中に含まれるDNAから、何を食べているかを分析していた。しかし、この方法は時間がかかり、労力も膨大だった。
そこで、AIの技術が注目されている。生き物の糞に含まれるDNAを高速で解析し、どの生き物が何を食べているかを正確に、そして素早く見つけ出すことができる。これにより、科学者たちは、森や川、海といった様々な場所で、生き物たちがどのように互いに影響し合っているかを、これまでになく詳しく理解できるようになった。食物網を理解することは、ある生き物が絶滅の危機に瀕したときに、その影響が他の生き物にどう広がるかを予測する上で非常に重要となる。
自然の音から環境の変化を読み解くAI
もう一つの新しい技術は、「サウンドスケープ(音の風景)」の分析だ。科学者たちは、森や湿地、海に録音機を置いて、鳥のさえずりや虫の声、カエルの鳴き声、そしてコウモリの超音波といった、あらゆる自然の音を記録している。
この膨大な音のデータをAIが分析することで、どの種類の生き物が、どのくらいの数、そこにいるのかを自動的に判断できるようになった。もし、AIが「以前は聞こえていた鳥の声が減っている」と検知すれば、その地域の環境に何か悪い変化が起きている可能性が高いことを示している。この方法は、広い範囲の生態系の健康状態を、人が現地に行かなくても素早くチェックできる、非常に強力な道具となる。
これらの新しいAI技術は、より賢く、より効率的に自然を守るための道を開いてくれる。私たちは、これらの道具を使って、見えないところで起きている環境の変化にいち早く気づき、大切な生き物たちを絶滅から守るための対策を、手遅れになる前に始めることができるだろう。
<参照サイト>
AI for ecology and conservation: New tools track food webs and soundscapes
翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部(AIを使用)









