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見過ごされてきた「海の価値」 気候変動がもたらす真の経済的損失は想定の2倍だった

Image by Kanenori from Pixabay

 

地球の表面の約7割を占める青い海は、私たちが生きていくために欠かせない恵みを与えてくれる存在だ。しかし、これまで気候変動が世界経済に与える影響を計算する際、この広大な海が受けているダメージは、驚くほど過小評価されてきた。

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究チームが発表した最新の調査は、海洋への影響を正しく算入すると、気候変動による経済的な損失額は、従来の想定の「約2倍」にまで膨れ上がることを明らかにしている。

 


🌊 なぜ「海のツケ」は見逃されてきたのか

これまでの気候変動に関する経済モデルでは、主に「陸の上」で起きる出来事に焦点が当てられてきた。たとえば、猛暑による農業の不作、熱中症などの健康被害、あるいは冷房使用によるエネルギーコストの増加といった事柄だ。

一方で、海は二酸化炭素を黙って吸収してくれる「便利な貯蔵庫」として扱われ、その内部で起きている深刻な変化が、私たちの経済にどう跳ね返ってくるかという視点が欠けていた。研究チームは、この「計算漏れ」を修正するために、海洋の生態系や物理的な変化がもたらす経済的影響を、最新のモデルに組み込んだのである。

 

🐚 海の中で起きている「サイレント・クライシス」

温室効果ガスによって地球に蓄積された熱の90パーセント以上は、実は海が吸収している。その代償として、海では以下のような深刻な事態が進行している。

海水温の上昇と酸性化

これにより、貝類やサンゴなどの成長が妨げられ、豊かな漁場が失われる。これは世界の食糧供給と漁業経済に直撃する。

ブルーカーボンの喪失

海草やマングローブ、湿地などは、熱帯雨林よりも効率的に炭素を蓄える力(ブルーカーボン)を持っている。しかし、温暖化や海面上昇によってこれらが失われると、蓄えられていた炭素が再び放出され、さらなる温暖化を招くという悪循環が生まれる。
海洋循環の変化

海の流れが変わることで、地域の気候が激変し、予測不可能な経済的損失を引き起こす。

研究チームがこれらを数値化したところ、二酸化炭素を1トン排出するごとに私たちが支払うべき「真のコスト(炭素の社会的費用)」は、従来の予測の2倍近くに達した。つまり、私たちは自分たちが地球に負わせている負債を、これまでの半分程度しか認識していなかったことになる。

 


💡 未来への投資としての「海洋保護」

この研究結果は、一見すると絶望的なニュースに思えるかもしれない。しかし、視点を変えれば、「今すぐに対策を講じることの経済的メリット」が、これまで考えられていたよりもはるかに大きいことを示している。

二酸化炭素の排出を抑え、海を守るための投資を行うことは、将来私たちが支払わなければならない「2倍のツケ」を回避するための、極めて賢明で合理的な選択だ。海を保護することは、単に美しい自然を守るという道徳的な話にとどまらず、私たちの経済的な基盤を支えるための「現実的な防衛策」なのである。

海は長い間、言葉を発することなく私たちの身代わりとなって熱や汚れを引き受けてきた。その海が今、限界を迎えつつあるという事実に、私たちはもっと誠実に向き合わなければならない。海が持つ真の価値を正しく理解し、その回復のために行動することは、私たち自身、そして次の世代の暮らしを確かなものにするための、最も優しく、そして確実な道である。

 

<関連サイト>
Study Finds Ocean Impacts Nearly Double Economic Cost of Climate Change

 

翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部(AIを使用)

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