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【新型コロナウイルス】地球環境破壊が生み出す人獣共通感染症の恐怖

COVID-19の宿主候補として名前があがるキクガシラコウモリ Marie Jullion / CC BY-SA 3.0
COVID-19の宿主候補として名前があがるキクガシラコウモリ Marie Jullion / CC BY-SA 3.0

新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっている。

世界のあちこちで「戦後最大の危機」が叫ばれ、ニューヨーク、ロンドン、パリなど、世界の主要都市が封鎖される状態に陥った。東京オリンピックに対しても参加国やアスリートたちからの不安の声が高まり、「1年以内に延期」というかつてない状態に追い込まれた。

新型コロナが発生して以降、これまでに175の国・地域で計40万4020人余りの感染者が見つかり、1万8259人の方が亡くなっている。(2020年3月25日現在)。

コロナウイルスの蔓延は自然と人間の接触から始まる。

パンデミックを生み出した原因にあげられるのがCOVID-19という新型コロナウイルスだ。

「このウイルスは、ヒトに蔓延している風邪のウイルス4種類と、動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類が知られている。」(国立感染症研究所

前者が冬に流行する風邪の原因となり、後者がコウモリを感染源とするSARS(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)、ヒトコブラクダのMERS(中東呼吸器症候群コロナウイルス)で動物からヒトに感染して重症肺炎を引き起こす。

「新型コロナウイルスの遺伝子配列は、SARSコロナウイルスに近く、さらにコウモリ由来のSARS様コロナウイルスにも相同性があることから、おそらくコウモリがこの新型コロナウイルスの起源となったウイルスを保持していると考えられています。しかし、この新型コロナウイルスがコウモリから直接ヒトに感染するようになったのか、あるいは、その間に別の宿主がいるのかどうかはまだ不明です。」(日本ウイルス学会

新型コロナの感染源と疑われるコウモリはキクガシラコウモリという種類で日本にも生息している。このコウモリに宿っていたコロナウイルスに何らかのきっかけで人間が感染したことからパンデミックにつながったと考えられる。

最初に発生したとされる中国中部の武漢(Wuhan)の海産物市場では食材や漢方薬としてコウモリや蛇、ジャコウネコなどの野生生物が販売されていたという。

コウモリの特殊な能力によって進化したコロナウイルス

コウモリは人間に害をなす様々な病原体の宿主となることが知られている。彼らの特殊な能力と共生することによってウイルスも独自の進化を遂げる。

哺乳類でありながら空を飛ぶ唯一の動物であるコウモリは飛行の際に高熱を出したような状態になる。彼らが巣から出てエサをとりに出かける時と巣に戻るときに高熱状態になるという。そうした宿主の環境に順応する形でウイルスがは変化する。

私たち人間は高熱を出すことによって病原菌を殺してカラダを守る。コウモリに宿るコロナウイルスは高熱に強い種が残っていく。

コウモリのような動物たちも人間同様、ストレス状態に置かれると病原体などに冒されやすくなる。野生動物市場に連れて来られた様々な動物たちは大きなストレスを抱える。そして、ストレス状態におちいった動物はウイルスに感染しやすくなる。こうしてコロナウイルスは人間が感染するところまでやってきたとされている。

中間宿主として名指しされたセンザンコウの悲劇

ウロコガ漢方薬の材料として珍重されるセンザンコウ U.S. Fish and Wildlife Service Headquarters / CC BY 2.0
ウロコガ漢方薬の材料として珍重されるセンザンコウ U.S. Fish and Wildlife Service Headquarters / CC BY 2.0

日本ウイルス学会ではコウモリと人間の間に別の宿主がいる可能性を指摘している。

これに対して華南農業大学の研究者がアリクイに似た生態を持つセンザンコウが新型コロナウイルスの中間宿主になった可能性があるとコメントし、ニュースで大きく取り上げられるようになった。

南アジアから中国、台湾、およびサハラ以南のアフリカに生息するセンザンコウだが、古くから食用にされたり、そのウロコが漢方薬や媚薬の材料として活用されて来た歴史がある。

センザンコウは世界に8種おり、2017年に全種の国際取引が禁止されたが、今でも大量のセンザンコウがアフリカからアジアへと密輸されている。

その原因として中国で象牙の国内販売が禁止になり、売り上げの減少に困った密猟業者たちが、アジアで珍重されるセンザンコウの密輸にターゲットを絞った結果なのだという。

コロナで話題に! 悲劇の哺乳類センザンコウ

攻められるのは動物たちでなく私たちのライフスタイルだ。

センザンコウが中間宿主だったとしても自然のなかに生きていれば新型コロナをパンデミックにすることはなかった。それを買い求める人間がいるからこそ、ヒトとの接触が生まれる結果となり、パンデミックにつながった。攻められるべきはセンザンコウではない。

同じようにコロナウイルスを宿すコウモリたちも、自然のなかにいれば自然の希釈効果も手伝って、害をもたらすことはない。人間から自然に近づくか、自然から人間に近づくような状態を避ければ、病原体との接触は防げるだろう。

私たち人間がコウモリの生息する自然環境を破壊すれば、ストレスを抱えたコウモリが生まれ、ヒトの住む町へとエサを求めて近づいてくる。こうして新たなる「人獣共通感染症」が生まれる。その感染症がグローバル化した経済によって世界に撒き散らされる。それが今回のパンデミックを生み出した基本的な構図となる。

そこに追い打ちをかけるのが自然を破壊することによって加速する地球温暖化。温暖化は動物たちの生息域を大きく変え、熱帯性の動物たちが北上するきっかけをつくる。それによって熱帯性の感染症が世界に広がるきっかけとなる。

私たちは自然を破壊することで多くの利益を得る。だが一方、新型コロナウイルスのような多くの不利益も生じてくる。

私たちが目先の利益だけを追い求めていたら、この地球上で持続的な暮らしを営むことは難しい。まさに今、SDGsの精神が必要になってくる。今回のパンデミックによって私たちは多くの犠牲を払うことになった。こうした事態を収束させ、今後も起こさないために、今、何を考え、何を行動すべきなのか。しっかりと考える時なのだろう。

<参照リンク>
センザンコウ違法取引が拡大 新型コロナで急展開も
Coronavirus and the ‘Pangolin Effect’: Increased exposure to wildlife poses health, biosafety and global security risks
Bats are not to blame for coronavirus. Humans are

エコロジーオンライン理事長 上岡 裕

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