ソーシャルエコロジーレポートを始めます。

 ここ数年、エコロジーオンラインの活動の主役は、スタッフや読者の皆様と考えたところから、代表としての発信をなるべく控え、縁の下の存在として事業系の発信を中心に動いてきました。しかし、リーマンショックや民主党政権の誕生、東日本大震災と、私たちを取り巻く環境が大きく変化し、栃木という「地域」に拠点を置くエコロジーオンラインの活動も大きく変化せざるを得ない状況となりました。

 

 現在の縁の下からの情報発信では、読者はおろか、世界的なITネットワークでつながった仲間たちともも、エコロジーオンラインの変化や、変化を生み出す背景にある社会的な潮流などについて、自分らの思いを伝えきれない状況と判断し、ブログという形で活動の整理や自分たちに影響を与えているか政治経済の変化などの検証も兼ねて情報発信をして行くことにしました。

 

 エコロジーオンラインでは、ひさしぶりの自筆原稿であるため、しばらくこなれない文章が続くと思いますが、しばらくご辛抱ください。

 

 さて初回、エコロジーオンラインの現状について、ちょっとお話をしておこうと思います。

 

 エコロジーオンラインは2000年、「普通の人のエコロジー」というプロジェクト名のもと、週刊プレイボーイやロッキグオン「H」という雑誌に書いていたエコやITの原稿を手直しして、自分ひとりでウェブ化したところに端を発します。

 そのタイトルが示すように、「普通の人」に地球環境の危機を伝えたいというのが、自分が最初に考えた「ミッション」でした。その「ミッション」を具現化するために活用したのが、ホームページやメールマガジンののITツール、そして、音楽やキャラクターというエンターテインメントのコンテンツです。前者の流れからは環境省や東京都、毎日新聞やネット企業などとの協働事業が生まれ、現在のソーシャルメディアの活用へとつながっていきます。そして後者の流れからは、「そらべあ」という日本初の環境専用キャラクターが生まれ、「そらべあ基金」という別法人が盛んに活動をしています。

 

 ここ数年は、自分らも立ち上げに関与した「チーム・マイナス6%」という国民運動や、それが発展した「チャレンジ25」など、エコロジーオンラインがターゲットにした「普通の人」へアクションを呼びかける活動が盛んになり、エコロジーオンラインの最初の「ミッション」については、日本における先導役として、十分に機能を果たしたとの感触があり、そろそろ役割が終わりに近づいたという感じを持っていました。そこで次のステップとして考えたのがイオルインターナショナルの創立でした。

 この団体は日本から海外へと視野を広げ、南アジアやアフリカで、地球環境問題の普及啓発をして行くことを考えました。(それは今も変わってはいないのですが。。。)そして自分はエコロジーオンラインの理事長を下り、イオルインターナショナルの代表理事に転じます。

 

 エコロジーオンラインがそうした変貌を遂げようとした同時期に、リーマンショックや民主党への政権交代が起きます。自分らが一緒に里山再生を手がけていた一部上場企業がリーマンショックによって破綻し、民主党政権が導入した事業仕分けによって、自分たちの仲間の再生エネルギー分野の事業者たちのビジネスモデルが大きな影響を受けることになります。そこに追い打ちをかけたのが今回の東日本大震災。自分としては卒業したはずだったエコロジーオンラインの屋台骨が大きく揺らぎ、スタッフの多くに経済的な影響が色濃く出始めます。

 

 本当なら被災地支援に手を出せる余裕などありません。しかし、太平洋岸の甚大な津波被害に続き、福島第一原発のメルトダウンと、未曾有の事態を目の当たりにしてNPOが動かないわけに行きません。ソーラーパワートラックの派遣や被災地への楽器の提供、仮設住宅への国産材の活用、福島へのガイガーカウンターの寄付などの事業が動き始めます。それぞれの支援事業の経済性を考えるのは先送りすることで、とにかく多くの支援を手がけることとなりました。それらの活動をやる原資は手元にありませんし、新たに情報発信用のウェブをつくっていく体力もありません。結果、無料サービスであるTwitterやFacebookを積極的につかっていくことにつながりました。その結果、生まれたFacebookページは18を越えることになりました。

 

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上岡 裕(かみおか ゆたか)

 

1983年、国際基督教大学卒業。株式会社ソニーミュージック・エンターテインメント(SME)退社後、フリーライターに。2000年3月、環境情報発信を中心とするNPO法人エコロジーオンラインを設立。環境省(Re-Style、環のくらし、エコアクションポイント)、林野庁(木づかい運動)などの政府系国民運動の委員を務め、クラブヴォーバン、音事協の森づくりなど、数多くの協働事業の立ち上げを手がけてきた。田中正造を生んだ栃木県佐野市に生まれ現在も在住。地元の地域活性化をはじめ、全国の事業をサポートしている。昨年末、環境大臣賞を受賞した「そらべあ基金」の立ち上げをプロデュース。3年にわたってライオン株式会社のCSR報告書の第三者委員を務めた。現在は地域活性化や被災地のためのウェブやソーシャルメディアの活用のサポートを精力的に行っている。

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コメント: 2
  • #1

    rara (金曜日, 01 7月 2011 10:06)

    上岡さんが嘗て「普通の人」には見えてこなかった環境問題を伸し上げたように、もっともっと普遍的な問題を突きつけられている今、偉かったばずの人たちが「普通の人」とともに問題を解決できるよう期待しています。

    久しぶりにエコロジーオンラインのページを開きました。
    心強い限りです。

    ☆ずっと前のある日のこと、ある檀上からはみ出した上岡さんを目撃したひと  りです。

  • #2

    特定非営利活動法人エコロジーオンライン (日曜日, 03 7月 2011 11:40)

    raraさん、コメントどうも。コーディネーターとパネラーが連続して壇上から落ちた例のイベントですか。懐かしいですね~。当時のステージは僕らにはあまりに狭すぎました(笑)。

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