早いもので震災から4カ月以上経ちました。被災地ではまだまだ大変なご苦労をされている方が多くいらっしゃり、心よりお見舞い申し上げます。
そして、我々Forward to 1985 energy life推進コアメンバーを焦らせた早い梅雨明け!今年だけは梅雨入りが早く、梅雨明けが遅くなってくれればな~と願っておりました。
でもやはり、どう考えても異常気象。
実は6月の28日~7月3日までドイツはフライブブルク市へ勉強に行って参りましたが、現地もやはり異常気象。ドイツも結構寒くて現地の方も「こんな夏は珍しい、異常気象だ!」と(強引ですか^_^;)。今回は若干Forward to 1985 energy lifeと異なりますが、実に重要な意義があると思いますので、ドイツの話をば。
ご存じエコロジーオンライでフライブルクレポートを執筆しているドイツ在住環境ジャーナリスト・村上敦さんは一方で一般社団法人クラブヴォーバンのファウンダーでもあります。ちなみに、このクラブヴォーバン(以下cV)はこのエコロジーオンラインから生まれた組織でもあるのです。で、cV企画の環境を勉強するツアーに参加させていただき、特にドイツ住宅政策の素晴らしさに感動致しました。
ここではその詳細は割愛させていただきますが、太陽光パネルや高性能設備に頼る日本メーカーのメカメカ政策にはずっと違和感を感じていまして、それよりも何よりも箱としての家の性能を高めること、それによるコストアップをある程度バックアップしてあげること、そういうことを政策でもって誘導しなくてはならないのだと思ってきました。どんなに素晴らしいメカでも半永久的には続きません、いつかは壊れます。しかも、結構短命。ある有名なメカに至っては、構造が複雑かつメーカーのノウハウということでブラックボックス化されていて、ちょこっとの故障でも全部交換!ということも多々あるんです。
そういうメカに頼り切った家づくりや政策は所詮メッキで、近い将来にはがれてしまいます。そこで、ドイツ。この国では4年に一度の大きな住宅性能基準改訂があり、2年でマイナーチェンジもあります。もちろん、年々レベルアップされるわけですが、工務店やプレハブメーカー、また資材関連メーカー各位が4年後の改訂に合わせる形で企業努力をし、法律通り、いや、競争優位に立つ為それ以上の性能をつくりあげるのです。
一旦、性能レベルの高い家をつくれば、かなりのエネルギーロスが抑えられるので、メカの故障があろうがなかろうがハイレベルな節電(エネルギー全般)もだまってなされるわけなんですね。村上さんは常日頃、環境意識はドイツ人よりニッポン人の方が高いとおっしゃっています。ドイツ人は法律や規律で決まっているから粛々とそれに従っているだけで(もちろん、一般論です)、ニッポン人はほぼ善意から実行している人が多いと。
Forward to 1985 energy lifeは6,000万戸近い住宅ストックの消費エネルギーを半分にしましょう!という大運動なのですが、まずはこれから建てられる住宅に関してドイツ並みとは言いませんが、かなりハイレベルな断熱・気密基準を課せば莫大なエネルギー浪費を抑える事が可能になると思います。また、何が何でも新築では無く、既存の住宅をしっかりとした断熱・気密リフォームをすれば、エネルギーの問題はもちろんのこと、夏涼しく、冬温かい家に生まれ変わるのです。特に、あたたかい家は健康面にも非常に効果があると数々の書物やTVでも紹介されています。近畿大学・岩前先生のレポートが最もわかりやすいですね。ついでに私のホームページでも覗いて頂ければ・・・。
というようなことから写真でドイツの住宅の断熱性能はどんな構造でやっているかを少しご紹介いたします。ま、ここでも詳細は割愛させていただきますが、断熱材の種類・厚み・量、サッシ等の開口部どれをとってもすっごいです!でも、中でもドイツ住宅各ランクの最高峰、“エネルギープラスハウス”は年間のエネルギー使用量よりも生み出すエネルギーがプラスの性能なんですね。化石燃料が枯渇してしまっても、この家に住んでいれば冷暖房機無しで、TVも見れるしインターネットも出来、お風呂に入れ、食事も作れる。ある意味シェルターと言っても過言ではありません。
ニッポンでここまでの性能をつくるとなると相当なコストアップは必至です。だからこそ、こういう家に補助金や助成金、銀行は優遇融資するような枠組みは必要不可欠なんです。ま、その辺はこのコラムの担当外なので^_^;
これから新築・リフォームをお考えの方は、まず、じっくりこの辺のところをしっかり勉強して実行に移して頂きたいと思います。
PROFILE
吉田登志幸(よしだ としゆき)
有限会社オストコーポレーション北関東 代表取締役
1970年1月2日生まれ。大阪府出身。明治学院大学経済学部商学科卒
1992年4月株式会社山善住設建材部入社。2001年4月同社退社、5月現在のスウェーデンの建材と自然素材商品に特化した販売会社を設立。2010年12月業界初格付け型住宅ポータルサイト素晴らしき地場ビルダーランド開設(自身もサイト内ナビゲーターをつとめる)。
自立循環型住宅研究会関東支部代表世話人
コメントをお書きください