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急激な気候変動が森林の未来を奪う!樹木の移動が危機的に

森林火災の後の芽吹き/Nico Grg/CC BY-NC 2.0.
森林火災の後の芽吹き/Nico Grg/CC BY-NC 2.0.

気候変動の進行により、多くの樹木が本来の生育地での生存が難しくなりつつある。アメリカ・コロラド州立大学の研究チームは、森林の自然な「移動」が気候変動のスピードに追いついていないと警告した。

 

この研究では、アメリカ西部の25,000を超える森林調査地点のデータをもとに、15種の樹木について再生や分布の変化を分析した。その結果、樹木は温暖化によりこれまでの生育地が難しくなる一方で、涼しい高地や北方への新たな進出もほとんど見られないことが明らかになった。

 

たとえば、森林火災や病害虫被害の後に開けた土地でも、期待されたように樹木が涼しい地域へと移動・再生することはなく、代わりに森林の範囲が縮小する傾向が強く見られている。こうした現象は、種子の拡散距離の限界や、移動先に適した土壌や共生菌が存在しないことなどが要因となっていると考えられる。

 

このような背景から、研究者たちは「アシステッド・マイグレーション(人為的移植)」の必要性を提案している。これは、将来の気候に適応できる場所へ人の手で樹木を植え替えるという取り組みで、実際、カナダのブリティッシュ・コロンビア州では、気温上昇を見越して西部カラマツを1000km北へ移植するというプロジェクトが進行している。また、アメリカでもより温暖な気候に適応した苗木を導入する試みが始まっている。

 

この手法には、生態系への影響や外来種化のリスクなど、慎重な対応が求められるという課題もある。しかし、気候変動が加速する中で、自然の再生能力だけに頼っていては多くの森林が消失してしまう恐れがあるため、科学的根拠に基づいた人為的支援が、森林保全の鍵となる可能性が高まっている。

 

森林の未来を守るために、自然と人間の共生に新たなかたちが求められているようだ。

 

<参照リンク>

Climate change outpaces tree migration, human intervention may be needed: Study

 

翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部(AIを使用)

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