
エコロジーオンラインというNPO法人を立ち上げて今年で16年になる。その活動を振りかえってみると、再生可能エネルギー(以下再エネ)を中心に、自然といかに調和して生きるかというグリーンなライフスタイルの普及に多くの時間を注いできたと言える。
環境省と行った「Re-Style」という活動では、若者たちに「リデュース・リユース・リサイクル」の大切さを伝えるため、GLAYなど、著名ミュージシャンに関わってもらってライブを行った。ソニーマガジンズ(当時)とは『リンカラン』という雑誌をつくり、都市暮らしの女性に田舎暮らしや手づくりの楽しさを伝えることも行った。
そうしたライフスタイルを変えるお手伝いの活動のなかで、メインとなったのが再エネを暮らしのなかに根付かせる活動だった。
世界初のグリーン電力によるコンサートホール

2001年、世界的な活動をする音楽家の坂本龍一さんと「音楽の電力を自然エネルギーでまかなおう!」と盛り上がり、何人かの仲間たちとつくったのがアーティスツパワーだ。
当初、僕らが目的としたのは全国で実施されるコンサートを再エネから生まれたグリーン電力で行えるようにすることだった。実際に太陽光発電を設置するため、コンサート会場の屋根にあがって調査をして具体的な提案も行った。
だが、当時はまだ、再エネに対する理解が社会全体で進んではおらず、なかなか進まない。そんなときに出会ったのが、再エネによる電力の価値を売買するグリーン電力証書の仕組みだった。この仕組みを使えば、現場に再生エネルギーの施設を設置せず、すでに立ち上がっている発電所から自然にやさしい電力を購入することができる。何しろイニシャルコストがかからないのが魅力的だ。
このグリーン電力証書の仕組みを使って最初に手がけたのが、全国に五か所で大型ライブハウスを展開していたZEPPの電源をグリーンにすることだった。そんな僕らの努力が実を結んだのは2002年のこと。秋田県能代市の風力発電のグリーン電力証書の導入が決まったのだ。ホール側とホールを活用するアーティストがグリーン電力証書のコストを負担する。その結果、すべてのイベントがグリーン電力で行われることになったのだ。
複数の大型ライブハウスの電力がすべてグリーン電力で賄われることは当時珍しく、世界初だと新聞で紹介された。今でもこの事業は続き、ZEPPのイベントやコンサートに参加した人は、再エネの存在は知らなくても、グリーンパワーによって様々な感動を味わってきたことになる。(続く)
文 / エコロジーオンライン理事長 上岡 裕

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