中南米のコスタリカが今年になって150日間、再生可能エネルギーを中心にした発電だけで電気をまかなっていることがわかった。
その150日の半分はここ数か月で達成。6月16日から9月2日までの連続76日間、化石燃料を燃やさず、二酸化炭素を排出しない電気で国が動いている。
世界中で脱化石燃料が叫ばれ、クリーンエネルギーへの転換が不可欠だと言われる。そういう意味ではコスタリカは優等生だろう。
だが現実には、巨大な汚染をもたらす先進国が簡単に見習えるものでもない。
コスタリカの面積は四国と九州をあわせたほどの大きさで、コスタリカ全体の電気をまかなうのに巨大な電力は必要ない。一方、アメリカ合衆国は2015年、約400万ギガワットアワーの電力を消費。その量はなんとコスタリカの373倍になる。
コスタリカのクリーン電力のほとんどは主要な4つの水力発電からやってくる。それらの発電所はコスタリカにある多数の川や豊富な雨で枯れることはない。8月のコスタリカの電力生産量は水力が全体の約8割を占めた。
だが、エコツーリズムが盛んなコスタリカにとって、ダムはクリーンなエネルギーを供給する一方、現地の人々の暮らしや、野生生物の生息地を奪い、健康な川を藻であふれる、よどんだ流れに変えてしまったりする。環境的、社会的に深刻な影響を引き起こす可能性も否定できない。
たしかにコスタリカを他の国々のモデルとするのは難しいかもしれない。だが、四国や九州、自治体がコスタリカをモデルとすることはできるはずだ。クリーンエネルギーの開発に後ろ向きな政府を尻目に、地産地消型の自然エネルギーを積極的に導入する都市や自治体が世界で増えている。その方が地球温暖化防止にも効果があるし、地域に資金が還元し雇用が増えていくことに人々は気づき始めたのだ。
たかがコスタリカ、されどコスタリカ。
自立型の社会への変容が叫ばれるなか、貴重な実践例として評価されるべきなのだ。
<参照リンク>
Costa
Rica hasn't burned any fossil fuels for electricity in two months
翻訳・文 / ソーシャルエコロジー研究所
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