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神は風のごとく、すべてのものに触れる~ ~映画「風をつかまえた少年」レポート ~

 

2010年、1冊の本が世界を驚愕させた。「風をつかまえた少年」というその本には一人の少年の奇跡の物語が記されていた。その9年後、監督と主演を兼任するキウェテル・イジョフォーによる同名の映画が公開された。

アフリカの最貧国マラウイで暮らすウィリアムは、機械いじりに興味がある少年だ。父トライウェルの兄弟が生活のために土地をタバコ農園に売り渡したため、森が切り開かれ、洪水が発生。飢饉が起こり、学費が払えなくなってしまう。

 

政府による救済を待つ彼の家族であったが、飢饉の時のために備蓄していた穀物を大統領が他国に売り払っていたことが発覚。大統領の訪問時、スピーチという形で族長が直訴するが、SPに暴行を受け、瀕死の状態にされてしまう。

 

自分の姉が学校の先生と交際していることを知ったウィリアムは、彼と交渉して図書館で勉強できることになった。そこで出会ったのがエネルギーについての専門書だった。

 

その本でダイナモについて学んだウィリアムは、先生が乗っている自転車にライトを灯すダイナモが付いていることを発見する。一方、彼の家族を支える作物の収穫状況は悪化の一途をたどり、70日分の食糧で次の収穫期まで乗り切らなくてはいけなくなってしまう。そんなある日、族長の側近が穀物を強奪しようと家に侵入する。嫌な予感を感じた母アグネスは倉庫を確認。そこに彼らの食糧を奪っていく村人の姿を発見する。

 

ウィリアムは姉に、先生にダイナモを譲ってくれるよう説得してくれないかと相談する。前々から彼の実家に帰ろうと誘われていた姉はこの状況に嫌気が差し、ウィリアムにダイナモを残して先生と駆け落ちしてしまう。

 

手にしたダイナモを使ってミニチュアの風力発電機を作った彼は父に装置を見せ、「これがあれば乾季、雨季に関係なく作物が収穫できる」と父を説得。父の自転車を分解して風車にしたいと説得するが、正気を失った父に一笑に付されてしまう。食糧や娘を失った母アグネスに一喝された父トライウェルが冷静さをとりもどし、息子の提案に賭けてみることになった。彼らは村人と協力し、風車用の塔を建て、自転車を分解したホイールにダイナモをつけた。すると発電が始まり、井戸の水をポンプが汲み上げ、見事に飢饉を逃れることができた。

 

光、風、水の流れなどから生まれる自然エネルギーはとても身近なものだ。父トライウェルはありふれた風がエネルギーに変わることに考えが及ばなかった。だが、息子を信じてみることにしたトライウェルに村人の心が動かされる。そして彼らは見事に風のエネルギーをつかみ、苦労していた水を手にすることができたのだ。

 

人間の暮らしは古来から雨期乾季などに代表される自然の状況に縛られてきた。その呪縛を解き放つために、大量に化石燃料が消費され、地球温暖化のような問題が生じてしまった。化石燃料からの脱却が叫ばれるなか、彼らのように自然から生まれるエネルギーを活用して貧困や飢餓を解決することが重要になる。

 

このアフリカの少年の物語はそのことをとても分かりやすく感動的に伝えている。エネルギーのSDGs的な側面について学びたい人は是非、映画館に足を運んで欲しい。


オフィシャルウェブサイト
『風をつかまえた少年』絶賛公開中

© 2018 BOY WHO LTD / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE / PARTICIPANT MEDIA, LLC

配給:ロングライド

 

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