海外の環境ニュースやSNSを見ていると、AMOC(大西洋南北熱円循環)に関する不安を誘う投稿が圧倒的に多い。
2004年に米国で製作された「デイ・アフター・トゥモロー」が、このAMOCをテーマに氷河期に襲われる北米やヨーロッパを描いて話題になった。
当時は環境省のお偉いさんでも「何で温暖化なのに氷河期が来るの?」と首をかしげる映画だったのだが、その後、世界各地の研究者たちによって研究が進み、すでに私たちの地球が映画で起きたようなことを体験する可能性があることが明確になってきた。
AMOCは熱帯地域の温かい海水を北へと運び、蒸発を繰り返しながら塩分濃度を上げ、北大西洋で比重が重くなり、沈み込んで熱帯に戻るという水の循環を繰り返している。
昨年末、ドバイで開催された国連気候変動会議で(COP28)で国連食糧農業機関(FAO)が米国などの国に対して、地球温暖化対策として肉の消費を減らすことを求めた。...
人間のような恒温動物と違って、爬虫類、両生類、魚類、潮間帯の動物、昆虫などのような変温動物は、気候変動による気温の上昇をモロに受ける。
実際にどれだけ影響があるかを調べた研究が現在、話題になっている。世界の研究者たちが協力して、熱帯から北極、南極に近い高緯度地域に生きる変温動物について調べた。その結果、高緯度地域の変温動物については、現在体験している気温の上昇と彼らが耐えられる最高気温との間には開きがあり、余力を残していることがわかった。
一方、熱帯のパナマにいるトカゲの一種のストリームアノールは、より温暖な地域にいるコモチカナヘビよりも気温の上昇に大きな影響を受けていることがわかった。
気候危機が叫ばれるなか、私たちの意識は二酸化炭素にばかり向かいがち。植物が光合成をして生み出す酸素がなければ私たちは生きていけません。
その酸素の約6割が世界の熱帯林によって生み出されています。南米を代表する熱帯林のアマゾンはその1/3以上を占めているため「地球の肺」と呼ばれます。熱帯林が存在しなければ私たちは息をすることにも苦労することになります。
そのアマゾンに危機が迫っています。一つの原因は昨年秋から続いてきた気候変動による干ばつです。アマゾン川の本流支流を含めて120年ぶりの渇水を体験してきました。雨が少ないために熱帯林の木も土も水分を保つことができません。そのために熱帯林の干ばつがより厳しいものになり、環境破壊に対しても弱くなり、森林火災などがおきやすくなっています。
気候危機やバイオダイバーシティを考える際にまず思い浮かべるのは森林だろう。気候変動による森林火災が都市に迫ればテレビや新聞で大々的に報じられる。一方、世界の珊瑚礁が白化現象を起こしても大した話題にならない。メディアも含めて一般の人の海に対する意識はそんなものだろう。
地球環境問題における海の貢献を現実的に見てみるとまた違った思いになるはずだ。海は我々の暮らしから排出される温室効果ガスの1/3を取り込み、さらに温室効果ガスによって生み出された熱の9割を吸収している。海という存在がなければ平均気温の上昇はどうなっていたかわからない。
私たちの暮らしを無言で支えてきた海にも大きな変化が現れている。その一つが海の酸性化だ。もともとアルカリ性の水質が二酸化炭素を大量に取り込むことによって酸性に傾き、サンゴが石灰化できず、カキ・ホタテなどは新しい殻や貝をつくれなくなり、エビ・カニなどは殻が溶けはじめる。このまま進むと海の酸性化による我が国の漁業の被害はなんと5千億〜2兆円に及ぶと言われている。
人類を次に襲うパンデミックはソンビのような病原菌になるだろう!その脅威を科学者たちが指摘する。
北極の永久凍土には人間が触れたことのない古代のウイルスが眠っている。なかには研究者によって分離されているゾンビウイルスも存在する。どんな病原菌が眠っているかは誰にもわからないが、古代のポリオが眠っている可能性も否定できない。
すでにシベリアの7つの場所からいくつかの異なるウイルス株が見つかっており、培養細胞に感染する可能性もわかっている。
現在、カナダ、シベリア、アラスカにある永久凍土は溶け始めており、この地域が地球温暖化の平均的な上昇速度よりも数倍の速さで進んでいることを考えると、パンデミックの発生確率は高まっている。
アフリカを代表する大型動物のサイ。気候変動によるアフリカ南部の気温の上昇と降雨パターンの変化によって住む場所が失われる可能性が指摘されている。
アフリカは過去100年の間に月間平均気温が2℃上昇したと言われ、気候変動の進捗によってさらに上昇するとことになる。
マサチューセッツ大学アマースト校の研究たちが、アフリカ南部にある5つの国立公園の変化を追いかけた。将来、気候変動が穏やかだった場合には、2055年に2.2℃、2085年に2.5℃、温室効果ガスの排出が止まらなかった場合は、2085年には4.6℃の上昇が見込まれたという。
この地域に生息するシロサイ、クロサイにとって、4.8℃の上昇は耐えられない。彼らが生存できる可能性はゼロに近づく。だが、公園管理者にはまだやれることがあると研究者は指摘する。
雪不足のために営業を終了するスキー場も出てきている。インターチェンジからも近くレジャー施設も豊富な那須にあるマウントジーンズもその一つだ。支配人によると「近年の少雪の影響」が大きいのだという。
気候変動と降雪の関係性を調べるのは思ったほど簡単ではない。それぞれの地域が置かれている緯度、高度、気象条件などによって大きく影響を受けるからだ。
その難しい調査にアメリカ ダートマス大学の博士課程に席を置く研究者チームが挑んだ。その結果が学術誌「ネイチャー」に発表されている。彼らが対象としたのが北半球にある169の河川の流域、1981年から2020年の変化について調べた。
極北の高緯度地方に降り積もる雪の8割は減少が少なく、アラスカ、カナダ、中央アジアなどの一部は気候変動の影響で雪が増えている。問題となるのは残る2割の影響。北半球の人口の中心を構成する都市たちにこの2割の地域からの水が供給されているからだ。
10月7日のハマスの大規模攻撃がきっかけとなったイスラエルのガザ侵攻から2ヶ月が経った。この戦争によって大量のCO2が排出されたが、なんと中央アフリカ共和国など気候変動で被害を受ける国々の年間排出量を超えていることがわかってきた。
実際に排出されたとされるCO2は二酸化炭素換算で281,000トン。石炭を150,000トン燃やしたことに相当する。その多くが米軍の空路の輸送やイスラエルの戦闘機から排出されたもの。他には地上侵攻に伴う戦闘や地上軍の移動から出るCO2が含まれる。ハマスの攻撃から排出されたのは713トンだった。この数字は全体を把握したものではななく、現実にはさらに多くのCO2が排出されたのではないかと見られている。
近年、世界中で懸念されている健康課題の一つに、薬剤耐性菌の増加があげられる。2019年の時点で世界中で127万人が薬剤耐性菌で亡くなっている。
元々、自然界にはペニシリンなどの抗菌薬に耐性を持つ薬剤耐性菌が存在するのだが、単一の抗生物質を使い続けることにより、薬剤耐性菌株だけが生き残り、増殖していくのだという。
1928年のぺニシリン発見以降、人間の命を救い続けてきた抗菌薬なのだが、その輝かしい戦績が仇となって不適切な使用が増え続けてきた。
抗菌薬の偏った使用、長期的投与、使用量を抑えることで殺菌できずに耐性化を促してしまうなど、薬剤耐性菌を生み出す土壌が形づくられてしまった。